昔の常識は今の非常識かもしれません。
以前は野球のバッティングというものはボールを上から下へ叩きつけるようなバッティングが基本と教わった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私もその時代の人間です。
日本の野球はボールを転がしてなんぼみたいなところがあります。
フライを打ち上げようものなら監督の怒りを買います。下手したら交代させられるかもしれません。ランナー三塁でタッチアップができる状況なら話は別ですが。
そもそもなぜ、ゴロを打つ打撃がいいバッティングとされているのでしょうか。
ゴロを打てば守備がミスをする可能性があるからではないでしょうか。
ランナーなしの状況でみますと、
まず、バッターが内野ゴロを打ちます。
最初にその打球を捕球する野手が捕球ミスをする可能性があります。
そして捕球をしても今度は送球しなければなりません。そこで送球ミスをする可能性があります。
さらにその送球されたボールを捕球しなければなりません。そこで捕球ミスをする可能があるというわけです。
どこかでミスがあるとバッターはセーフになる可能性があるというわけです。
確かに。
フライを打ち上げると野手が捕球ミスをするところでしかセーフになる可能性はありませんからね。
逆に守備側はバッターの特徴から打球方向を予測し、配球やいろいろな守備体系を駆使してゴロを打たしてアウトを取ろうとするわけです。定位置であれば抜けていただろう打球もそのシフトをひかれることによって同じ打球を打ったとしても野手の守備範囲に打ってしまうことになります。(まんまとこのシフトにハマってしますとバッターは思いっきり脱力します。)
これではバッターは打率もあがりませんし、点も取りにくくなります。さらに試合に勝つことも難しくなります。結果的に給料もあがりません。。。
そこで、近年MLBではビッグデータ解析をして選手やボールの動きを数値化した結果、「打球速度が158km以上、角度が30度前後の打球はヒットになる確率が8割あり、その結果のほとんどがホームランになる」という解析結果をだしたのです。そしてゴロのほうがアウトになる確率がフライよりも高いというのです。
その解析結果は、日本のプロ野球でもボールを上から叩いてゴロを打つ打撃理論から打球に角度をつけてフライを打つという打撃理論を浸透させ、革命を起こしたということで「フライボール革命」と呼ばれているそうです。
たとえ守備シフトをひかれたとしても野手の頭を越えれば関係ねぇと。
この理論でバッティングをしているのはソフトバンクの柳田悠岐選手が有名です。フライボールを打つようになってからホームランの数が増えたそうです。
ただし、この打撃理論は条件がつきます。
「打球を158km以上で打つには脂肪を除いた体重が65kg以上必要」らしいのです。さらに、最大飛距離を出すには「ボールの芯の6ミリ下側を地面に対して19度上向きに打つアッパースイングできる技術」も必要なのです。
日本のプロ野球の世界では体重はクリアしている選手が大半かもしれませんが、ボールの芯の下6ミリを地面に対して19度上向きに打つアッパースイングができる選手は限られているかもしれませんね。
MLBでは三振の数がかなり増えたらしいので、ベースボールそのものが変わっているのでしょう。
イチロー選手も引退会見で言われてました。
「本来、野球は頭をつかう競技である。MLBは頭をつかわない野球になってきている。この流れはしばらく続くであろう。その野球を日本は追うのでは日本の野球、頭をつかう野球を変わらずに大切にしてほしい。」
と。
この打撃論はMLBで生まれた打撃論であって、メジャーリーガーが持つパワーがあることで成り立つ理論なのかもしれません。
日本は日本の野球、スモールベースボール大切にしてほしいですね。
(まぁ分かっていると思いますが。)
スモールベースボールがMLBに負けていると私は思いません。
では。